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E.Aの書きかけ小説を殴り書きなのだ。 現在「星降る夜に願いをかけて」連載中
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    【前回分はこちら】


    生存率 2.8%

     逃げれるの? アリンのか細い声。逃げれるの? 知るかよ。そう叫びたいところだが、ここでアリンを不安にさせてどうする? そんなこと言ったら、俺まで挫けちまう。
     挫けてこのまま死ぬか?
     (冗談じゃない! 死んでたまるか!!)
      アリンに答えるかわりに、ロイは強く手を握った。言葉なんか、今のこの状況でいくら紡いだって無意味だ。言葉は所詮、言葉。それでアリンの、そしてロイの不安と危機は消せはしない。
     だが、手のぬくもりは、アリンをパニックから引き戻し、ロイに勇気を湧かせた。生きてやるよ、お星様。お前らの酔狂な気まぐれからな。
     その決意すら、気休めでしかないことに、ロイは気付いていなかった。状況は何一つ変わっておらず、危機は刻一刻と迫っているのだ。ロイの言う気まぐれが、ほんの少しかたむけば、彼らは死ぬ。そんな極限状況なのだ。下手に動けば、END。下手に動かなくてもEND。後は運次第……。
     そして、その運の確率はきわめて低い。
     大量の星の雨に、生存者が今までほとんど皆無だったことが数字でニュースはすでに証明している。ロイはそれを知っている。それを知っていて、それをあえて破棄する。考えないことに努める。
     とにかく、生き延びること。焦点はそれだけで充分。
     確率の問題は生き延びてからすればいい。今、重要なのはアリンと供に一刻も早く、この町から出て行くことだ。星の雨の脅威から、できるだけ遠い場所へ。
     ロイは無言で走り出した。アリンはロイの背中を不安そうに見つめながら、後ろに続く。
    手はお互い、離そうとしなかった。そのぬくもりが、二人にとっての命綱なのだ。もし、一瞬でも、このぬくもりが離れたら、間違いなくパニックが頭を襲う。ぬくもりが、ロイとアリンを平静に保たせていた。その平静さも、ちょっとしたショックで崩れてしまいそうな、もろい見せかけでしかない。
     それでも、アリンのために諦めるわけにはいかない。
     それでも、ロイが一生懸命なのに弱音なんか吐いていられない。
     二人は口に出さず、恐怖をはためかせながら、胸の中で呟く。
     と・・また、強烈な光が空に弧を描く。と思うやいなや、星は二人のすぐ近くの建物に降り注いだ。  
     すさまじい轟音と振動、そして破壊。目の前でコンクリートの固まりが光に撃たれ、単なる瓦礫になっていく所を目の当たりにする。ビルは砂でできたように、ゆっくりと崩れた。
     光は止まらない。
     ゆっくりと、崩れ落ち、醜くはがれ落ちるコンクリートの粒子達。むきだしの鉄骨。数々の文明のアカシ・・・。すべてがあっさりと、ゆっくりと破壊しつくされていった。
     それでも光は止まらない。
    「く・・!」
     ロイは唇をかみしめた。まるで映画の主人公にでもなったような気分だ。昨日までの平和な日常なんか、影も形もない。爆風に飛ばされないように、体をふんばり、同時にアリンを支える。
     その、たった一瞬だった。
     星が二人のすぐ足元に落ちてきた。熱い風が二人を包み、ゴミのように飛ばされる。
     (痛・・!)
     かつてビルだつた瓦礫に叩きのめされ、一瞬、ロイは意識を失いそうになった。
    「アリン!?」
     恋人を探す。と、手の感触を思い出した。ぬくもりが―感覚が蘇る。アリンは、ロイの手を少しも離す事なくソバで倒れていた。
    「しっかりしろ、アリン」
     答えない。
    「アリン!!」


    続く





    追記。雑文。
    昔の文章を読むのは照れ臭いですが、
    まぁ、自己復習の意味合いもかねて。
    第一部四話まではwebで掲載していますので、一気読みされたい方はそちらを、どぞ。
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