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E.Aの書きかけ小説を殴り書きなのだ。 現在「星降る夜に願いをかけて」連載中
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    《前回分はこちら》


     消失は突然におこる。運が良ければ、生命は死ぬことはない。自然がえぐられ、環境が見るも無残に変貌する程度である。ま、その結果、生態系が崩れるような事態が生じるとしてもだ。
     今の人類に、他生物の愛護活動などを行う余力はない。
     死の恐怖から逃げ出すことだけが、今の人類の課題であった。人類の科学は、スター・レインを解明し、その現象を消滅させるほどの力はない。むしろ、その100倍のスピードで、文明建築物が、消されている。その倍の生命が死に、致命傷にもだえ苦しみ、不運を呪う。
     今日もそんな事例の一つが、無慈悲に残酷に、夜空に星を引いた。
     小説家と少女が見たあの星―。
     星は海をこえ、大陸をこえ、町という町をくぐりぬけて、小さな町に落ちる。
     イギリス、サウスイーストに位置する田舎町、フォルテッシュッ。ロンドンにわりと近く、そこそこの商品流通がそこそこにあり、そこそこに儲けて、そこそこに幸せを享受していた、その町。
     その日、あっさりと消えた。
     轟音が鳴り響く。
     目がくらむばかりの、ライトアワー。その意味は、死と破壊。人々は理解する余裕もなく、死に絶える。あるいは、死にいたらず、激痛の中、闇をさまよう。痛覚は恐怖を呼び込み、人々は混乱を自分自身の手で呼び寄せる。
     混乱は混乱を招き、招かれた混乱は、さらなる被害をもたらす。一度は科学で地球を征服できると確信していたサルの子孫達の末路。サルは所詮サルなのかもしれない。人類の科学の力など、サルが木の枝の上で木の実を頬張って得意になっている事と、何の代わりも無いのだ。圧倒的なスター・レインの脅威に、人類はなすすべもない。
     なすすべも……。
    「どうしようもないのか」
     他人事のように、ロイ・アーブィは呟いた。テレビや新聞で、毎日のように報道されているスター・レイン星の雨の脅威。人はその前では、あっさりと死に、町は廃墟と化す。まさに、その瞬間をロイは目の当たりりしていた。
    「これが、スター・レイン・・・・星の雨……」
     星が空をかけめぐる。星が空を埋め尽くす。星は光りの矢となって、地表に突き刺さる。それは壮麗で、圧倒的で、耽美で、酔ってしまうような光景だ。綺麗だ、と思う。
    ずっと見ていたいと思う。自分の町が破壊しつくされている、というのにだ。その光りに打ち抜かれてみたいとすら思う。それが危険な死の光りであるはずなのに―。
    「ロイ!」
     その一言に、ロイははっと我に返った「ロイ、死にたいの? 早く逃げようよ」
     と言ったのは、アリン・ノルフィル。ロイの婚約者だ。ロイはやっと、自分が何をしていて、今ドコにいたのか、理解した。何ボケッとしている、笑えるぞ。ロイ。お前は何をしている? ん? そのまま死ぬか? 明日はなんだ? お前は、忘れちゃいないか? 死んだら結婚式なんか、あげられないんだぞ。何より、お前はアリンを殺すきか?
    「アリン…デートがおじゃんだな」
     何言ってんだ、俺は。「逃げよう、死んでたまるか」
    「ロイ……逃げれるの?」
     不安そうな表情。ロイの頭の中に新聞の一文が、浮かんだ。


    生存率 2.8%


    《続く》
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